【書評】ITビジネスの原理

【書評】ITビジネスの原理

初心者向けの1冊という印象

恥ずかしながら著者の尾原 和啓さんのことを知らなかったのですが、IT業界で転職を10回以上されていて、様々なプラットフォームを立ち上げてこられた有名な方でした。

尾原 和啓さんプロフィール

楽天株式会社執行役員

楽天株式会社チェックアウト事業長。1970年生まれ。京都大学大学院工学研究科修了。
マッキンゼー・アンド・カンパニーにてキャリアをスタートし、NTTドコモのiモード事業立ち上げ支援、
リクルート、ケイ・ラボラトリー(現:KLab)、コーポレートディレクション、サイバード、電子金券開発、
リクルート(2回目)、オプト、Googleなどの事業企画、投資、新規事業に従事。現職は11職目になる。
ボランティアで「TED」カンファレンスの日本オーディションに関わるなど、米国シリコンバレーのIT事情にも詳しい。

~Amazonより~

ITビジネスにおける経験、知識が豊富な方という印象ですが、初見では「ITビジネスの原理」というよりも「ITビジネスの歴史入門編」というタイトルの方がしっくりくるな、と感じてしまいました。理由としては、Amazonでの紹介文に、

数々のIT企業にいたからこそ知り得た、ITビジネスの原理をこの一冊で圧縮体験する。

パズドラ月130億円、LINE3億人、なぜ大成功したのか?
Facebookはなぜマネタイズに苦しむのか?
Googleグラスに秘められたウェアラブルの本質とは?
LINEスタンプとiモード絵文字に共通する仕組みとは何か?
Amazonと楽天の決定的な違いはどこにあるのか?
Yahoo!が勝ち取った「純粋想起」の原理とは?

とあり、実際に書かれているのですが、各々薄く触れている感じで、物足りなさを感じてしまいました。

しかし、日を置いてインプットを整理してみると、実は著者の主張は一貫していて、それに基づいてITビジネスの歴史を紐解いている1冊であることに気付きました。単純に、きれいにまとめられている1冊ですので、全体観を把握するのにもオススメですが、後半の方で書かれている著者の主張を理解した上で読んでいくと理解が深まると思います。

人のニーズは昔から変わらず、技術革新でITがニーズに応えられる時代になってきた

著者の言いたいことは終盤にまとめられいるのですが、キーワードは「ハイコンテクスト」です。最初の方に著者の主張したいことが書かれている方が、その後の内容を読んでいく時の視点が定まって良かったように感じます。

通信速度の発達やデバイスの進化などによって、情報の発信、受信コストが下がり、下がることに伴ってITビジネスは移り変わってきました。掲示板(niftyサーブ)→ブログ→SNS(GREEやmixi)→マイクロブログ(Twitter)→チャットツール(LINE)といった具合です。

本書では人のニーズ=承認欲求と置き換えて、承認欲求を満たすためのツールとしてのITビジネスが流行り、次のITビジネスに移り変わり…という流れがあると書かれています。

・人間には社会的に承認されたいという欲求があります。自分の存在を社会に認めてもらいたいという欲求です。この欲求はひじょうに大きなもので、それだけにこれが満たされたときの快感、充足感も大きいのです。

・コミュニケーション消費では常に人とは違う新しい刺激を求める、つまり前と違うことで人を喜ばせたいという原理がある

コミュニケーションのためのコンテンツとして存在していた着うたや待受画像は、LINEのスタンプに置き換わりましたが、人が求める原理は変わらないという主張は非常に説得度が高い説明でした。

・GoogleよりFacebookの換金化が比較的難しいのは、ユーザのインテンションが読み取りにくいことに起因しています。

・1.ユーザのインテンションを先鋭化させて正しく把握する 2.そしてそのインテンションに基づいて最適なものを提示するという二つの仕組みがきちんと回ることが、インターネットのビジネスでは重要なことなのです。

これはITビジネスを考える上で重要な視点です。特にプラットフォームを考える上ではビジネスの成否を分ける大きな要素になっていると思います。バーティカルメディアと呼ばれる求人サイトや不動産サイトなどでも業界や職種、不動産の形態などでテーマ特化することでインテンションを先鋭化しています。ECサイトもこの流れが顕著に出てきています。

昨年からスタートアップ業界が盛り上がっていますが、本書に書かれている内容と照らし合わせて、流行りの理由を考えてみると、新規事業のヒントが掴めるのではないかと思いますので、これからITビジネスを新しく始める予定の方は読んで損はしない1冊です。

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